アンテトニトルスの基本情報
学名 | Antetonitrus |
分類 | 竜脚類 > アンテトニトルス属 |
生息時代 | ジュラ紀前期(約2億年前) |
体長(推定) | 約8~10m |
体重 | 約2~5トン |
生息地 | 南アフリカ |
食性 | 植物食 |
アンテトニトルスの大きさ比較
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アンテトニトルスの概要
アンテトニトルスは、ジュラ紀前期(約2億年前)に現在の南アフリカに生息していた草食恐竜で、竜脚類の初期段階を代表する重要な存在です。全長は約8~10メートル、体重は約2~6トンと推定されており、当時としては最大級の陸上動物でした。四足歩行でしたが、前肢には物を掴む能力が残っており、完全な重量支持構造には至っていない点が特徴です。このような原始的特徴と進化的適応の両面を併せ持つことから、竜脚類の進化を理解する上で重要な鍵を握る恐竜とされています。
アンテトニトルスが発見された地層と標本
アンテトニトルスの化石は、1981年に南アフリカのフリーステイト州で発見されました。発見者は古生物学者のジェームズ・キッチンで、当初は「エウスケロサウルス」として誤って分類されていました。標本は長らくバーナード・プライス研究所に保管されていましたが、数年後にアダム・イェーツが再調査を行い、まったく新しい属であることが判明しました。これが2003年に発表された正式な記載につながります。
標本は一個体のものとされており、椎骨の一部、前肢や後肢の骨などが含まれています。また、別の小型個体から採取された数本の四肢骨も同じ属と認定されています。これらの化石は、アンテトニトルスの身体構造や生活様式を知るうえで非常に重要な資料です。
この恐竜の化石が発見されたエリオット層は、ジュラ紀前期の地層で、他にも複数の初期竜脚類が見つかっている場所です。そのため、南アフリカは竜脚類進化の初期段階を理解する上で、重要な地域となっています。
アンテトニトルスの分類と名前の由来
アンテトニトルスという名前は、ラテン語の「ante(前に)」と「tonitrus(雷)」を組み合わせて作られたもので、「雷の前に」という意味があります。これは、より有名な竜脚類である「ブロントサウルス(雷トカゲ)」よりも前の時代に存在していたことを示す意図で名付けられました。実際にはブロントサウルスは現在ではアパトサウルスの別名とされていますが、大衆文化においては「雷トカゲ」として広く知られていたため、それとの対比でこの名前が選ばれたと考えられます。
また、アンテトニトルスの種小名「ingenipes(インゲニペス)」は、「巨大な足」を意味し、発達した四肢の構造に由来しています。つまり、この恐竜の名前全体は「雷の前に現れた巨大な足の持ち主」という特徴を表現しているのです。