恐竜の化石が多い国ランキングTOP10|世界の恐竜大国と代表種まとめ

恐竜の化石は世界各地で発見されていますが、国によってその種類や発見数には大きな差があります。中には何百種類もの恐竜化石が見つかっている「恐竜大国」もあれば、珍しい固有種が注目される国もあります。

本記事では、恐竜の化石の種類数を基準として、恐竜の化石が多く発見されている国をランキング形式で紹介し、それぞれの地域で見つかった代表的な恐竜や特徴を解説します。恐竜ファンや化石に興味のある方はもちろん、旅行や学習の参考にもなる内容です。あなたが思い描く恐竜の姿が、どこの国で見つかったものなのか、ぜひ一緒に探ってみましょう。

目次

第1位:中国(264種)

中国は世界最大の恐竜化石大国です。特に遼寧省の熱河層群からは、羽毛恐竜や翼竜、初期の鳥類など保存状態の良い化石が多数発見されています。また、四川省の竜脚類化石や新疆ウイグル自治区の肉食恐竜も有名で、中国全土に化石産地が点在しています。近年も新種発表が相次ぎ、世界の古生物学をリードしています。

中国で発見された主な恐竜化石

恐竜名生息時代生息地(発見地)特徴
プシッタコサウルス白亜紀前期内モンゴル自治区インコのようなくちばしを持つ小型草食恐竜。
ミクロラプトル白亜紀前期遼寧省四枚の翼を持つ小型羽毛恐竜。滑空能力あり。
ユウティラヌス白亜紀前期遼寧省羽毛を持つ最大級の肉食恐竜。全長約9mで、寒冷地適応の証拠とされる。
ズケンティラヌス白亜紀前期遼寧省中型ティラノサウルス類。軽量で俊敏な動きが可能と考えられる。
ヌーロサウルス白亜紀前期内モンゴル自治区全長25m。アジア最大級の竜脚類。
マメンチサウルスジュラ紀後期四川省首の長さが体の半分以上を占める巨大竜脚類。全長30m超。
ヤンチュアノサウルスジュラ紀後期四川省大型肉食恐竜で、頑丈な頭骨と鋭い歯を持つ。全長約8m。
チンタオサウルス白亜紀後期山東省頭部に独特な曲がったトサカを持つハドロサウルス類。
シノケラトプス白亜紀後期山東省中国で初めて発見された角竜類。立派なフリルと角を持つ。
ギガントラプトル白亜紀後期内モンゴル自治区体長8mを超える大型オヴィラプトロサウルス類。羽毛を持つ可能性あり。

第2位:アメリカ(256種)

アメリカはコロラド州、ユタ州、モンタナ州など、広大な地域で恐竜化石が豊富に発掘されます。ティラノサウルス・レックス、トリケラトプス、ステゴサウルスなど世界的に有名な恐竜の化石はアメリカ産が多く、博物館展示でも圧倒的な存在感を放ちます。国立公園や州立化石公園も充実しており、研究と観光の両面で重要な役割を果たしています。化石の保存状態も良く、骨格標本として完全に近い形で見つかる例が多いのも特徴です。

アメリカで発見された主な恐竜化石

恐竜名生息時代生息地(発見地)主な特徴
アパトサウルスジュラ紀後期コロラド州、ユタ州体長20mを超える大型竜脚類。長い首と尾を持ち、草食性。
ステゴサウルスジュラ紀後期コロラド州、ワイオミング州背中に大きな骨板、尾にスパイクを持つ草食恐竜。
アロサウルスジュラ紀後期ユタ州、コロラド州ジュラ紀の頂点捕食者。鋭い歯と強靭な後肢を持つ。
カマラサウルスジュラ紀後期コロラド州、ユタ州比較的短い首の大型竜脚類。多数の化石が発見されている。
デイノニクス白亜紀前期モンタナ州、ワイオミング州鋭いかぎ爪を持つ小型肉食恐竜。集団で狩りをした可能性がある。
トリケラトプス白亜紀後期モンタナ州、サウスダコタ州3本の角と大きな頭盾を持つ角竜類。草食性。
ティラノサウルス白亜紀後期モンタナ州、ワイオミング州強力な顎と鋭い歯を持つ最大級の肉食恐竜。
アンキロサウルス白亜紀後期モンタナ州、ワイオミング州全身を装甲板で覆い、尾に大きなハンマー状の骨を持つ。
パラサウロロフス白亜紀後期ニューメキシコ州、ユタ州頭に長い後方に伸びる突起を持つカモノハシ竜。
パキケファロサウルス白亜紀後期モンタナ州、サウスダコタ州厚いドーム状の頭骨を持つ草食/雑食恐竜。頭突き行動の可能性あり。

第3位:アルゼンチン(134種)

アルゼンチンは三畳紀後期の原始恐竜から白亜紀後期の巨大竜脚類・大型肉食恐竜まで網羅的に発見される稀有な国です。また、パタゴニア地方では、世界最大級の草食恐竜パタゴティタンや、巨大肉食恐竜ギガノトサウルスが発見されており、巨大竜脚類と大型肉食恐竜の発見で有名な南米を代表する恐竜化石大国でもあります。化石の保存状態が良く、産地ごとに異なる時代の地層が分布しているため、恐竜進化の時系列研究にも重要な地域となっています。

アルゼンチンで発見された主な恐竜化石

恐竜名生息時代生息地(発見地)主な特徴
ピサノサウルス三畳紀サンフアン州最古期の草食恐竜の一つで、二足歩行。全長約1m。
エオラプトル三畳紀サンフアン州恐竜初期の形態を残す小型肉食恐竜。ほぼ完全な骨格が発見。
パタゴサウルスジュラ紀中期チュブト州約16mの大型草食恐竜。多くの標本により詳細な成長過程の分析が可能。
ティタノマキア白亜紀後期チュブト州全長6 m程でティタノサウルス類の中では驚くほど小型。
ギガノトサウルス白亜紀後期ネウケン州T. rexを超える全長を持つ超大型肉食恐竜。
アルゼンチノサウルス白亜紀後期ネウケン州全長30〜35m、体重65〜80tに達する巨大竜脚類。
パタゴティタン白亜紀後期チュブト州現在知られる中で最大級の恐竜。アルゼンティノサウルスを上回る可能性あり。
ドレッドノータス白亜紀後期サンタクルス州推定全長26m以上の大型竜脚類。骨格の約70%が発見されている。
カルノタウルス白亜紀後期チュブト州南米最大級の肉食恐竜。目の上の大きな角が特徴。
プエルタサウルス白亜紀後期サンタクルス州全長約30~40m。アルゼンチノサウルスに匹敵する巨大恐竜。

第4位:モンゴル(90種)

モンゴルのゴビ砂漠は恐竜化石の宝庫として知られています。1920年代の探検で初めて恐竜の卵化石が発見され、世界を驚かせました。プロトケラトプスやヴェロキラプトルなど、映画や図鑑で有名な恐竜もここから見つかっています。乾燥地帯のため化石の保存状態が良く、骨格だけでなく巣や足跡、捕食行動の証拠など生態を示す痕跡も残されています。現在も国際的な発掘プロジェクトが続き、新たな発見が絶えません。

モンゴルで発見された主な恐竜化石

恐竜名生息時代生息地(発見地)主な特徴
プロトケラトプス白亜紀前期ゴビ砂漠小型の角竜で、恐竜卵や巣とともに多数発見される。
ヴェロキラプトル白亜紀前期ゴビ砂漠とても俊敏で、映画『ジュラシック・パーク』で一躍有名に。
オヴィラプトル白亜紀後期ゴビ砂漠鳥のような顔つきをした、卵を大切にしていたとされる小型肉食恐竜。
タルボサウルス白亜紀後期ゴビ砂漠モンゴルを代表する大型肉食恐竜。T. rexに非常に近い仲間。
テリジノサウルス白亜紀後期ゴビ砂漠長い爪と羽毛様の体表を持つ、草食や雑食の肉食動物。

第5位:イギリス(73種)

イギリスは恐竜研究の発祥地でもあり、19世紀初頭に世界で最初に命名された恐竜化石(メガロサウルス)が見つかった国です。また、ジュラシック・コースト(世界遺産)やワイト島は、現在も恐竜の骨や足跡化石が見つかる人気スポットになっています。発掘される種は中型の草食恐竜や小型の肉食恐竜が多く、海岸沿いでは海生爬虫類の化石も豊富。研究史の長さから、古生物学の基礎を築いた国としても特別な地位を持ちます。

イギリスで発見された主な恐竜化石

恐竜名生息時代生息地(発見地)主な特徴
スケリドサウルスジュラ紀前期ドーセット州初期の装甲恐竜。体の側面に広範な骨板を持ち、非常によく保存された完全骨格が特徴。
メガロサウルスジュラ紀中期オックスフォードシャー州世界で初めて正式に命名された恐竜。大型肉食恐竜で、古生物学史の象徴的存在。
ケティオサウルスジュラ紀中期オックスフォードシャー州イギリス初期の竜脚類。英国で最初に記載された大型草食恐竜の一つで、完全な化石も発見。
イグアノドン白亜紀前期サセックス州、ワイト島草食性の中型恐竜。歯の化石が最初に発見された重要な種で、「恐竜」の概念確立にも貢献。
バリオニクス白亜紀前期サリー州スピノサウルス科に属する肉食恐竜。ワニのような細長い吻部が特徴。

第6位:カナダ(64種)

カナダのアルバータ州バッドランドにある「恐竜州立公園」はユネスコ世界遺産にも登録されている「化石の聖地」です。50種以上の恐竜、500体以上の骨格が発掘されており、角竜類やハドロサウルス類が豊富で、群れで生活していた証拠も多く見つかっています。保存状態の良い骨格標本が多く、博物館の展示も充実しています。カナダは化石保護政策が厳格で、学術研究と展示において世界的な信頼を得ています。

カナダで発見された主な恐竜化石

恐竜名生息時代生息地(発見地)主な特徴
サウロロフス白亜紀後期アルバータ州鴨のような嘴と頭部に小さなクレストを持つハドロサウルス類。カナダから最初に記載されたほぼ完全な骨格の一つ。
ドロマエオサウルス白亜紀後期アルバータ州中型の肉食恐竜で、「かぎ爪」を持つラプトル類の代表格。アルバータ州からの発見は、デーベロマエオサウルス科のタイプ種として重要。
アルバートサウルス白亜紀後期アルバータ州ティラノサウルス類に属する大型肉食恐竜で、30体以上の個体が知られ、群れ生活や成長研究に大きく貢献。
パキリノサウルス白亜紀後期アルバータ州トリケラトプスに似るが鼻には角ではなく“こぶ”を持つ珍しいセラトプス類。アルバータ州でよく知られる種。
ティラノサウルス(スコッティ)白亜紀後期サスカチュワン州カナダで発見されたT. rexの中でも最大級・最も完全に近い標本。体長約13m、体重約8.8tと推定される。

第7位:ブラジル(27種)

ブラジルは主に三畳紀の恐竜化石が多く、恐竜初期の進化を知る上で重要な地域です。サンタマリア層やアラリペ盆地では、初期の竜脚形類や小型肉食恐竜の化石が見つかっています。保存状態の良い魚類や翼竜の化石も多く、古生物学者にとっては多様な化石を一度に研究できる魅力的な場所です。

ブラジルで発見された主な恐竜化石

恐竜名生息時代生息地(発見地)主な特徴
ウナイサウルス三畳紀後期リオグランデ・ド・スル州世界最古の恐竜の一つ。ブラジルでもっとも保存状態の優れた古期恐竜。
イリタトル白亜紀前期ペルナンブコ州、ピアウイ州、セアラー州最小のスピノサウルス科の1つ。ほぼ完全な頭骨から知られる。
ベルタサウラ白亜紀前期パラナ州(翼竜の墓)白亜紀ブラジルで発見された最も完全な恐竜の1つ。歯が無い肉食恐竜。

第8位:スペイン(26種)

スペインでは白亜紀の化石が豊富で、特にテリジュラ地方やカスティーリャ・イ・レオン州での発見が有名です。大型の肉食恐竜や植物食恐竜、恐竜の巣や卵化石も見つかっており、恐竜の繁殖行動研究に重要な証拠を提供しています。近年は新種報告も増加しており、ヨーロッパにおける恐竜研究の拠点の一つです。

スペインで発見された主な恐竜化石

恐竜名生息時代生息地(発見地)主な特徴
アラゴサウルス白亜紀前期アラゴン州長い首・尾を持つ大型竜脚類。初期白亜紀を代表するスペイン産恐竜で、全長約18m。
コンカヴェナトル白亜紀前期カスティーリャ=ラ・マンチャ州背中に尖った隆条を持つ唯一の獣脚類
トゥリアサウルスジュラ紀-白亜紀前期アラゴン州体長30m超。ヨーロッパ最大の恐竜といわれる。

第9位:南アフリカ(26種)

南アフリカは三畳紀〜ジュラ紀の恐竜化石が多く、古代大陸ゴンドワナの恐竜相を知る手掛かりとなります。マッシオスポンディルスなど原始的な竜脚類の化石が有名で、恐竜の初期進化を研究する上で欠かせません。また、化石は山岳地帯や乾燥地に多く、保存状態の良い骨格が見つかります。

南アフリカで発見された主な恐竜化石

恐竜名生息時代生息地(発見地)主な特徴
アブリクトサウルス三畳紀後期フリーステイト州小型の二足歩行草食恐竜。体長約1.2mで、恐竜初期の形態をよく示す。保存状態の良い化石が知られる。
アンテトニトルス三畳紀後期フリーステイト州初期の大型竜脚形類で、二足歩行と四足歩行を併用していたと考えられる。全長約8m。
ドラコヴェナトルジュラ紀前期東ケープ州中型の肉食恐竜で、部分的な頭骨から「ドラゴンの猟犬」の意味で命名された。鋭い歯と強靭な後肢を持つ。

第10位①:インド(24種)

インドは白亜紀末の恐竜化石が豊富で、ネメグトサウルスに似た竜脚類やアベリサウルス科の肉食恐竜が見つかっています。グジャラート州のナルマダ渓谷は世界的な化石産地で、恐竜の卵化石も多数発見。インド亜大陸の地史と恐竜絶滅の関連を探る上で重要な資料を提供しています。

インドで発見された主な恐竜化石

恐竜名生息時代生息地(発見地)主な特徴
バラパサウルスジュラ紀前期アーンドラ・プラデーシュ州インドで発見された初期の大型竜脚類。全長約12〜14mで、草食恐竜としては最古級の一つ。
タラロサウルスジュラ紀中期ラージャスターン州世界最古級のディプロドコイド竜脚類の一種。インド恐竜進化の重要な手掛かり。
インドサウルス白亜紀後期マディヤ・プラデーシュ州インドで見つかったアベリサウルス科の大型肉食恐竜。

第10位②:ドイツ(24種)

ドイツはヨーロッパにおける恐竜研究の中心地の一つであり、古生物学史においても重要な役割を果たしてきました。特にバイエルン州ゾルンホーフェン石灰岩から発見された「アーケオプテリクス(始祖鳥)」は、恐竜と鳥類の進化的つながりを示す世界的に有名な化石です。ドイツの化石は保存状態が極めて良好で、羽毛や皮膚痕などの軟組織が確認される例もあります。現在も大学や博物館を中心に発掘・研究が続き、古生物学の教育・普及活動にも力を入れており、世界中の研究者や恐竜ファンを惹きつけています。

ドイツで発見された主な恐竜化石

恐竜名生息時代生息地(発見地)主な特徴
プラテオサウルス三畳紀後期〜ジュラ紀前期バーデン=ヴュルテンベルク州二足歩行する中型の植物食恐竜で、ドイツで最も化石が多く見つかっている。保存状態が非常に良い標本も多い。
アーケオプテリクスジュラ紀後期バイエルン州羽毛を持つ“始祖鳥”として有名。恐竜と鳥類の進化的つながりを示す重要な化石。
コンプソグナトゥスジュラ紀後期バイエルン州小型の肉食恐竜で、体長約1m。細身の体と長い尾を持ち、俊敏な動きが可能だったと考えられている。

圏外:日本(23種)

日本で発見された恐竜化石は23種で、惜しくも本ランキング11位という結果になりました。

日本は恐竜化石の産出量こそ中国やモンゴルに比べ少ないものの、保存状態の良さと固有種の発見が国際的注目を集めています。特に福井県勝山市の北谷(きただに)層からは、肉食恐竜「フクイラプトル」、草食恐竜「フクイサウルス」、原始的角竜「コシサウルス」などが発見され、国内固有の恐竜像が明らかになりました。北海道では白亜紀後期の大型ハドロサウルス類「カムイサウルス」が記載され、日本最大級の恐竜として注目されています。

日本の恐竜化石は保存状態が良く、骨格だけでなく歯や足跡、卵殻など多様な証拠が得られており、古環境の復元にも役立っています。また、福井県立恐竜博物館をはじめとする施設が研究と展示を担い、発掘体験や普及活動を通じて一般市民の関心も高めています。

まとめ:恐竜の化石が多い国ランキングから見える世界の恐竜事情

今回のランキングから、中国やアメリカ、アルゼンチンといった国々は、恐竜化石の発見数・種類ともに世界トップクラスであることが分かりました。

  1. 中国:遼寧省の羽毛恐竜や四川省の竜脚類など世界的に重要な化石産地が多数存在。
  2. アメリカ:ティラノサウルスやトリケラトプスなど有名種が多く、保存状態の良い大型標本で知られる。
  3. アルゼンチン:パタゴティタンやギガノトサウルスなど巨大恐竜の宝庫。
  4. モンゴル:ゴビ砂漠の卵化石やヴェロキラプトルが有名。
  5. イギリス:は恐竜研究の発祥地で、メガロサウルスなど古生物学史的に重要。

6〜10位にはカナダ、ブラジル、スペイン、南アフリカ、インド、ドイツが並び、それぞれ固有の化石と研究拠点を持ちます。惜しくも圏外の日本も、保存状態の良さや固有種の発見で国際的評価を得ています。

恐竜の化石が多く発見される国を知ることは、恐竜時代の地球環境や生物進化の理解にもつながります。世界の恐竜研究の最前線を知ることで、化石や古代生物への興味がさらに深まるでしょう。

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