ミクロラプトルは、白亜紀の中国に生息していた肉食恐竜です。ここではミクロラプトルの基本的な情報から特徴、発見された場所と化石、分類、名前の由来などをご紹介します。
ミクロラプトルの基本情報
属名 | Microraptor |
種名(種小名) | M. zhaoianus |
分類 | 獣脚類 > テタヌラ下目 > ドロマエオサウルス科 |
生息時代 | 白亜紀前期(約1億2,500万 ~ 1億2,000万年前) |
体長(推定) | 約0.7~0.8メートル |
体重(推定) | 約1~2キログラム |
生息地 | 中国 |
食性 | 肉食 |
ミクロラプトルの大きさイメージ
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ミクロラプトルの概要
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ミクロラプトルの特徴
ミクロラプトルは、全長およそ70センチ前後の小型恐竜で、前肢と後肢の両方に長い羽毛を備えていたことが大きな特徴です。4枚の翼を持つ姿は、現代の鳥類とは異なる独特な飛行形態を示しています。これにより、滑空や短距離の飛行が可能だったと考えられています。さらに、羽毛は黒色で玉虫色の光沢を持つ個体も確認されており、捕食や求愛行動の際に視覚的なアピールとして役立っていた可能性があります。一方で、後肢の羽毛は地上での動きや走行を妨げたとされ、生活の大部分は樹上であったと推測されています。こうした形態は、捕食者としての機敏さと同時に、環境適応の幅を広げる要因となっていました。
ミクロラプトルが発見された場所と化石
ミクロラプトルの化石は、中国遼寧省の九仏堂層から数多く見つかっています。この地層は約1億2000万年前、前期白亜紀に形成されたもので、湖や湿地が広がる森林環境が存在していました。ここからは、羽毛や骨格が非常に良好な状態で保存された標本が多数出土しており、300点以上の標本が博物館や研究機関で確認されています。保存状態の良さから、羽毛の色素構造や翼の形態まで詳細に研究することが可能となりました。また、発見地ではミクロラプトル以外にも多様な恐竜や古代鳥類、魚類の化石が見つかっており、当時の生態系を解明する重要な手がかりとなっています。
発見場所:中国 遼寧省

ミクロラプトルの名前の由来
ミクロラプトルという名称は、ギリシャ語の「小さい」を意味する「μικρός(ミクロス)」と、ラテン語で「捕らえる者」を意味する「raptor」に由来します。直訳すると「小さな泥棒」という意味になります。これは、小型ながらも鋭い鉤爪と俊敏な動きで獲物を捕らえる習性を反映した命名です。さらに、代表種であるミクロラプトル・ザオイアヌスの種小名は、中国の古生物学者・趙喜進氏への献名であり、「趙氏の小さな泥棒」という意味を持ちます。このような命名には、学術的意義とともに発見者や研究者への敬意が込められています。
ミクロラプトルの分類
ミクロラプトルは、動物界・脊索動物門・爬虫綱に属し、恐竜上目の竜盤目、獣脚亜目に分類されます。その中でも、デイノニコサウルス類に含まれるドロマエオサウルス科ミクロラプトル亜科に属するグループです。学術的には、他のドロマエオサウルス類と比較して小型で、四肢に発達した羽毛を持つ点が際立っています。また、近縁種としてシノルニトサウルスやグラキリラプトルなどが知られています。これらはいずれも、鳥類との進化的関係を探る上で重要な位置を占める恐竜であり、ミクロラプトルはその中でも特に研究対象として注目され続けています。
- 目 : 竜盤目 (Saurischia)
- 亜目 : 獣脚亜目 (Theropoda)
- 下目 : テタヌラ下目 (Tetanurae)
- 科 : ドロマエオサウルス科 (Dromaeosauridae)
- 亜科 : ミクロラプトル亜科 (Microraptorinae)
- 属 : ミクロラプトル属 (Microraptor)