メガロサウルス(Megalosaurus)- 恐竜図鑑

メガロサウルスは、ジュラ紀中期のイギリスに生息していた肉食恐竜です。ここではメガロサウルスの基本的な情報から特徴、発見された場所と化石、分類、名前の由来などをご紹介します。

目次

メガロサウルスの基本情報

属名Megalosaurus
種名(種小名)M. bucklandii
分類獣脚類 > テタヌラ類 > メガロサウルス科
生息時代ジュラ紀中期(約1億6,600万年前)
体長(推定)約6メートル
体重(推定)約700キログラム
生息地イギリス
食性肉食

メガロサウルスの大きさイメージ

メガロサウルスの概要

恐竜研究史の最初期である17世紀に発見され、世界で初めて正式な名前がついた恐竜として非常に有名で、恐竜研究史の象徴的存在となっています。

メガロサウルスの特徴

メガロサウルスは中期ジュラ紀に生息していた大型の肉食恐竜で、二足歩行をしていた点が大きな特徴です。全長はおよそ6〜9メートルと推定され、体重は700キログラムから1トン近くに達していたと考えられています。頑丈な後肢とバランスを取る長い尾を持ち、鋭い歯で獲物を切り裂いていたとされています。
また、前肢は短いながらも筋肉質で、獲物を押さえ込むのに適していたと見られます。化石からは骨格が強く骨化していることが分かっており、全体的に頑丈で力強い体つきだったことがうかがえます。現代の研究では、捕食対象には大型竜脚類や装盾類も含まれていた可能性が示されています。

メガロサウルスの名前の由来

メガロサウルスという名前は、ギリシャ語の「megas(大きい)」と「sauros(トカゲ)」に由来し、「大きなトカゲ」という意味を持ちます。この名称は、1824年に化石を研究したイギリスの地質学者ウィリアム・バックランドによって提案されました。
当時は恐竜という概念自体が存在せず、発見された巨大な骨が何の動物に属するのか不明だった時代です。最初はゾウや聖書に登場する巨人の骨と考えられたこともありましたが、研究の結果、全く新しい爬虫類の仲間であると判断されました。この名は恐竜の学術的命名史の中でも、最も早い部類に位置します。

メガロサウルスの分類

メガロサウルスは獣脚亜目>テタヌラ下目>メガロサウルス科に位置づけられています。
系統的には、同じメガロサウルス亜科に属するトルヴォサウルスやデュリアベナトルと近縁で、スピノサウルス類とも比較的近い関係にあります。長い間アロサウルス類の一員と考えられていましたが、近年の系統解析によって分類が見直されました。こうした分類学上の変遷は、化石資料が限られる中で研究が続けられてきたことを示しています。

  • 亜目 : 獣脚亜目 (Theropoda)
  • 下目 : テタヌラ下目 (Tetanurae)
  • 科 : メガロサウルス科 (Megalosauridae)
  • 属 : メガロサウルス属 (Megalosaurus Buckland)

メガロサウルスの発見と研究の歴史

初期の発見と命名の経緯

メガロサウルスの歴史は、1670年代にイギリスで大型動物の骨が見つかったことから始まります。当初、それはローマ時代の戦象や伝説上の巨人の骨と考えられていました。19世紀に入り、オックスフォード大学のウィリアム・バックランドがストーンズフィールドで発見された下顎や歯などの化石を研究し、1824年に「メガロサウルス」という名前を正式に発表しました。これが学術的に有効な名前を持つ最初の恐竜となりました。


この名称は、ギリシャ語で「大きなトカゲ」を意味し、恐竜という言葉が作られる以前に命名されたものです。当時は恐竜の知識がほとんどなく、未知の大型爬虫類という認識にとどまっていましたが、この発表が後の恐竜研究の基礎を築くことになりました。

化石の種類と保存状況

メガロサウルスの化石は、主に歯や下顎、骨盤、四肢、椎骨などが見つかっています。ただし、完全な骨格は未発見で、現存する化石の多くは断片的です。特にストーンズフィールドで採集された標本は複数の個体の骨が混在しており、一つの完全な個体を再現することは困難です。


また、標本の一部は収集当時から保存状態が悪く、時間の経過とともに失われたものもあります。このため、研究者は限られた資料を基に形態を復元しなければならず、その解釈には時代ごとの変化が生じています。こうした背景が、長年にわたる分類の混乱にもつながりました。

分類の変遷と研究の進展

19世紀から20世紀初頭にかけて、メガロサウルスは多くの肉食恐竜の化石を受け入れる「ごみ箱分類」となり、世界各地の大型獣脚類が安易にこの属に含められていました。やがて化石記録が増え、形態比較が進むにつれて、本来のメガロサウルス属はイギリス産の特定標本に限定されるようになりました。


近年の系統解析では、メガロサウルスはメガロサウルス科に位置づけられ、トルヴォサウルスやデュリアベナトルと近縁であることが示されています。こうして、かつての曖昧な分類から脱却し、限られた化石資料をもとにした精緻な進化的位置づけが可能になってきました。

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