ケティオサウルスは、ジュラ紀のイギリス等に生息していた草食恐竜です。ここではケティオサウルスの基本的な情報から特徴、発見された場所と化石、分類、名前の由来などをご紹介します。
ケティオサウルスの基本情報
属名 | Cetiosaurus |
種名(種小名) | C. brevis |
分類 | 竜脚類 > ケティオサウルス科 |
生息時代 | ジュラ紀(約1億7,100万 ~ 1億6,500万年前) |
体長(推定) | 約16~18メートル |
体重(推定) | 約11~24トン |
生息地 | イギリス |
食性 | 草食 |
ケティオサウルスの大きさイメージ
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ケティオサウルスの概要
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ケティオサウルスの特徴
ケティオサウルスは、全長16〜18メートルほどの大型草食恐竜で、体重は最大で約24トンと推定されています。首と尾が長く、比較的がっしりとした体つきをしていました。尾は40個以上の椎骨で構成され、バランスを取る役割を果たしていたと考えられます。一方で、骨は後の竜脚類ほど中空ではなく重いため、骨格全体にずっしりとした印象があります。前肢と後肢の長さがほぼ同じという特徴もあり、歩行時には安定感があったと推測されます。歯は先端が丸いスプーン状で、低い位置や中程度の高さにある植物を食べるのに適していました。
ケティオサウルスが発見された場所と化石
ケティオサウルスの化石は、主にイギリスで多く見つかっています。特にオックスフォードシャーやラトランドで発掘された標本は保存状態が良く、骨格の40%以上が揃っている例もあります。また、フランスやスイス、モロッコなどでも化石が報告されています。
発見場所:イギリス チッピング・ノートン
19世紀の初期にイギリスのチッピング・ノートン近郊で発見された標本は、当初クジラやワニの骨と誤解されていました。現存する化石の中には頸椎や背椎、大腿骨などがほぼ完全な形で残っており、博物館ではレプリカを含む全身復元骨格が展示されています。
ケティオサウルスの名前の由来
「ケティオサウルス」という名前は、ギリシャ語の「keteios(海の怪物)」と「sauros(トカゲ)」を組み合わせたものです。発見当初、この恐竜の骨は巨大な海棲爬虫類のものと考えられていたため、このような名称が付けられました。命名者はリチャード・オーウェンで、恐竜という概念自体を提唱した人物でもあります。後に陸生の竜脚類と判明しましたが、名前はそのまま残りました。この背景から、名前には当時の古生物学の知識や誤解の歴史が色濃く反映されています。
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ケティオサウルスの分類
ケティオサウルスは、竜盤目の竜脚類に分類されます。さらに、ケティオサウルス科(Cetiosauridae)の代表的な属とされ、特に基準種は「C. oxoniensis」です。このグループは比較的原始的な竜脚類に位置づけられ、後のブラキオサウルスやディプロドクスのような派生的竜脚類とは異なる特徴を持っています。現代の研究でも、ケティオサウルスの正確な系統上の位置は議論が続いており、複数の分析で異なる結果が示されているのが現状です。
- 目 : 竜盤目 (Saurischia)
- 亜目 : 竜脚形亜目 (Sauropoda)
- 下目 : 竜脚下目 (Sauropoda)
- 科 : ケティオサウルス科 (Cetiosaurinae)
- 属 : ケティオサウルス属 (Cetiosaurus)
同じ時代・地域の恐竜や植物相
ケティオサウルスと同じ時代・地域には、多様な恐竜や植物が存在していました。肉食恐竜では、メガロサウルスやマグノサウルス、デュリアヴェナトルといった大型獣脚類が知られています。また、小型のプロケラトサウルスや原鳥類に近い恐竜も生息していたと推測されます。
植物相は、沿岸部に適応した針葉樹が多く、アラウカリアやケイロレピディア科のほか、ベネッティタレア属やソテツ類、シダ類も確認されています。こうした多様な植物は、ケティオサウルスの食糧源として重要な役割を果たしていました。さらに、環境は氾濫原や開けた森林が広がる地域で、低木から中高木までバランスよく分布していたため、首の長さを活かして異なる高さの植物を食べ分けることができたと考えられます。