アロコドンの基本情報
学名 | Alocodon |
分類 | 鳥盤類 > アロコドン属 |
生息時代 | ジュラ紀中期~後期(約1億6,150万~1億5,480万年前) |
体長(推定) | 約1m |
体重(推定) | 約2kg |
生息地 | ポルトガル |
食性 | 植物食 |
アロコドンの大きさ比較
アロコドンは体長が約0.95 mと推定されており、現代の成人と比べるととても小型です。以下の図は、アロコドンと人間の全長を比較したものです。
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アロコドンの概要
アロコドンは、ジュラ紀中期に現在のポルトガルに生息していた小型の植物食恐竜です。全長は約1メートルとされ、二足歩行で動いていたと考えられています。最大の特徴は、縦に深い溝が刻まれた独特な歯で、「溝のある歯」を意味する古代ギリシャ語から名付けられました。発見されているのは歯のみであり、全身骨格は未発見のため、分類については長年議論が続いています。近年では、鳥脚類や曲竜類との関連が指摘される一方、分類不確定な疑問名とする意見もあります。
アロコドンの名前の由来と歯の特徴
アロコドンという名前は、「溝のある歯」を意味する古代ギリシャ語のalox(溝)とodon(歯)に由来します。1973年に古生物学者リチャード・A・サルボーンによって命名され、特徴的な歯の形状が名付けの決め手となりました。
アロコドンの歯は縦に深い溝が刻まれており、他の恐竜の歯と容易に区別できる形状をしています。この溝は食べ物を噛み砕く際の効率を高める役割を果たしていたと考えられています。また、上あごの前方には鋭い歯が並び、植物を切り裂くのに適した形状を持っていました。
一方で、化石として確認されているのは歯のみで、全身の骨格は未発見です。このため、体の構造や正確な分類については研究者の間で意見が分かれています。実際、歯の特徴がヒプシロフォドン類やオスニエリアの歯に似ているため、分類はたびたび再検討されています。こうした歯の独自性がアロコドンを語る上で欠かせない要素となっています。
アロコドンの発見場所と時代
アロコドンの化石は、1973年にポルトガル中部のペドロガオン地域から発掘された数本の歯が元になっています。
この地域からはアロコドンの歯のほか、翼竜ラームフォリンクスやカメの甲羅片、原始的ワニ類ゴニオフォリスの遺物、サンショウウオや硬骨魚類の歯、さらに大型獣脚類の足跡など多様な古生物が共存していた痕跡が発見されており、かつて浅い海や河川が存在したと考えられています。
時代的には、ジュラ紀中期から後期にかけて生息していたと見られており、具体的にはおよそ1億6千万年前の地層から化石が見つかっています。この時代は恐竜が多様化し始めた重要な時期であり、植物食恐竜の進化にも大きな変化が見られました。
さらにアロコドンに似た歯は、イギリス南部のフォレスト・マーブル層やチッピング・ノートン層からも報告されています。ただし、これらは「cf.アロコドン」とされており、正式に同一種と断定されているわけではありません。
このようにアロコドンの発見地と時代背景は、恐竜の進化を探る上でも貴重な手がかりとなっています。特に、比較的原始的な鳥盤類がどのように分布し、進化していったのかを知るための重要な資料といえるでしょう。