ドラコヴェナトルは、ジュラ紀の南アフリカに生息していた肉食恐竜です。ここではドラコヴェナトルの基本的な情報から特徴、発見された場所と化石、分類、名前の由来などをご紹介します。
ドラコヴェナトルの基本情報
属名 | Dracovenator |
種名(種小名) | D.regenti |
分類 | 獣脚類 > ディロフォサウルス科 |
生息時代 | ジュラ紀前期(約2億100万年前~1億9900万年前) |
体長(推定) | 約5.5~6.5メートル |
体重(推定) | 約250キログラム |
生息地 | 南アフリカ |
食性 | 肉食 |
ドラコヴェナトルの大きさイメージ
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ドラコヴェナトルの概要
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ドラコヴェナトルの特徴
ドラコヴェナトルは、約2億100万年前から1億9900万年前の前期ジュラ紀に生息していた肉食恐竜です。中型の新獣脚類で、地上を二足で歩くスタイルを持ち、全長はおよそ5.5〜6.5メートル、体重は約250キログラムと推定されています。
この恐竜の大きな特徴は、頭骨に見られる独特な構造です。前上顎骨の外側には二股に分かれた大きな窩(くぼみ)があり、それが深い溝を介して歯槽骨縁とつながっています。また、関節骨の外側には深く斜めに入った切り込みがあり、背側にはタブ状の突起が発達していました。
こうした特徴は、同じディロフォサウルス科の仲間であるディロフォサウルスやズパイサウルスとも異なる部分で、分類上の判断材料にもなっています。
ドラコヴェナトルが発見された場所と化石
この恐竜の化石は、南アフリカ東ケープ州に位置するストームバーグ層群の一部であるエリオット層から発見されました。最初の標本は1981年、アッパー・ドランボ・ファームという地点で採集されています。ここはヘッタンギアン期の砂岩やシルト質泥岩が堆積した地層で、恐竜や他の古生物の化石が多く見つかる地域です。
発見場所:南アフリカ 東ケープ州
発見された化石は、部分的な頭骨や顎の骨、歯などで構成されています。残念ながら、これらの頭蓋骨標本はその後失われ、現在まで新たな化石は見つかっていません。ただし、発見当初に記録された詳細な形態データが、現在の研究の基礎となっています。
ドラコヴェナトルの名前の由来
属名のドラコヴェナトル(Dracovenator)は、ラテン語の「draco(竜)」と「venator(狩人)」を組み合わせたもので、「竜の狩人」という意味を持ちます。この名称は、化石が見つかったドラケンスバーグ山脈(オランダ語で「竜の山」)にちなんでいます。
種小名「regenti」は、発見に携わったフィールドアシスタントのリージェント・ルーカス・フーマ氏への献名です。このように命名の背景には、発見場所の地理的特徴や発掘に貢献した人物への敬意が込められています。学名は2005年に古生物学者アダム・M・イェイツ氏によって正式に記載されました。
ドラコヴェナトルの分類
ドラコヴェナトルは、竜盤目、新獣脚類のディロフォサウルス科に位置づけられます。ディロフォサウルスやズパイサウルスと近縁であり、初期の獣脚類の特徴と進化した形質を併せ持つ「中間的」な存在とされています。
研究者による系統解析では、この属がディロフォサウルス科の中で比較的原始的な位置を占めることが示されています。こうした分類は、発見された骨の構造や形態的特徴をもとに導かれたもので、恐竜の進化過程を理解する上で貴重な資料となっています。
- 目 : 竜盤目 (Sauriscia)
- 亜目 : 獣脚亜目 (Theropoda)
- 科 : ディロフォサウルス科 (Dilophosauridae)
- 属 : ドラコヴェナトル属 (Dracovenator)