ピサノサウルスは、三畳紀後期のアルゼンチンに生息していた爬虫類です。ここではピサノサウルスの基本的な情報から特徴、発見された場所と化石、分類、名前の由来などをご紹介します。
ピサノサウルスの基本情報
属名 | Pisanosaurus |
種名(種小名) | P. mertii |
分類 | 爬虫類 > 恐竜型類 |
生息時代 | 三畳紀後期(約2億2,800万年前) |
体長(推定) | 約1メートル |
体重(推定) | 約2キログラム |
生息地 | アルゼンチン |
食性 | 植物食 |
ピサノサウルスの大きさイメージ
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ピサノサウルスの概要
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ピサノサウルスの特徴
サノサウルスは、後期三畳紀に生息していた小型の恐竜型爬虫類です。全長はおよそ1メートルほどで、体重は2キログラムと推定されています。骨格の特徴から、軽量で素早く動き回る地上性の草食動物であったと考えられています。
また、化石からは股関節の構造や骨盤の形状がわかっており、他の初期恐竜と比べてもユニークな形態を持っていたことが示唆されています。恥骨の向きなど、正確な骨格配置にはまだ議論が残りますが、少なくとも運動性能の高さは当時の環境で生き抜くための重要な要素だったといえるでしょう。
こうしてみると、ピサノサウルスは小さな体ながらも適応力に優れた生物であり、後の恐竜進化史を語る上で重要な存在といえます。
ピサノサウルスの分類
ピサノサウルスの分類は長年にわたり議論が続いています。かつては最古の鳥盤類とされ、ヘテロドントサウルス科やファブロサウルス科など、初期の鳥脚類に近いと考えられていました。
しかし2015年以降の研究では、シレサウルス科と呼ばれる非恐竜の恐竜型類に近い可能性が指摘されています。2017年以降の複数の解析でも、この見解を支持する結果が得られており、三畳紀の時代には鳥盤類が存在しなかった可能性も浮上しました。
一方で、シレサウルス類を鳥盤類の祖先的な段階とする見方もあり、ピサノサウルスは両者の中間的な特徴を持つ「過渡的な存在」と位置づけられることもあります。このように、分類はまだ確定しておらず、今後の新たな化石発見や解析が待たれています。
ピサノサウルスが発見された場所と化石
ピサノサウルスの化石は、アルゼンチン北西部のラ・リオハ州にあるイスキグアラスト層で発見されました。この地層は火山活動が盛んだった氾濫原に形成され、シダや巨大な針葉樹などが繁茂していた温暖湿潤な環境だったと推測されています。
化石は1962年にホセ・フェルナンド・ボナパルトらによって採集され、部分的な骨格が見つかっています。頭蓋骨の一部、背骨、骨盤、大腿骨、脛骨、そして足の指骨などが含まれ、標本番号PVL 2577として登録されています。
この化石は不完全ではあるものの、ピサノサウルスの形態や生態を理解する貴重な手がかりとなっています。特に骨盤の構造や歯の形から、食性や分類上の位置づけを考える研究が続けられています。
発見場所:アルゼンチン ラ・リオハ州
ピサノサウルスの名前の由来
「ピサノサウルス」という名前は、アルゼンチンの古生物学者フアン・アルナルド・ピサノへの敬意を込めて名付けられました。「サウルス」はギリシャ語由来のラテン語で「トカゲ」を意味し、直訳すると「ピサノのトカゲ」となります。
種名である「メルティイ(mertii)」は、アラウカニア地方の博物学者カルロス・メルティにちなんでいます。このような命名は、発見や研究に関わった人物を称えるため、古生物学の分野ではよく行われます。
命名は1967年、アルゼンチンの古生物学者ロドルフォ・カサミケーラによって正式に行われました。名称自体が、発見の背景や学術的な交流の歴史を物語る証ともいえるでしょう。